2000年3月28日(火)続き
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早く外へ!!という私の逸る気持ちとは裏腹に、正面玄関までの道のりは、遠い。こんな遠いホームに、なぜ荷物をたくさん持って乗車することが容易に想像できる空港行きの列車を発着させるのか、私には全く理解できない。(っていっても、私は肩からさげた鞄1つだけど。)
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駅は、ちょっとしたショッピングセンターだった。レストランも2ヶ所あり、マクドナルドや(工事中の) ベネトンショップ、ピザスタンド、ブックセンターなど、いろいろな店が並んでいた。 私は街へ繰り出す前に、50万リラ札を両替すべく、バス路線Mapを買いに本屋へ。たった8000リラの 地図を買うのに50万リラ札を出された店員は、超イヤそうな顔をして、「小銭はないの?」的なことを聞いてきた。私は、得意げに(何でだ?)からの小銭入れを見せ、「ごめんよ〜ホントにないんだよ〜。」 と笑顔で応えた。(結局、このMapはほとんど使わなかった。だって、見難いんだモン。)
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駅を出て、ホテルに向かった。駅の前にはバスターミナルが広がり、その横にある大通りを渡る。 本当は、きょろきょろといろいろなものを観察したいのだが、今の私に与えられたミッションはただ1つ。
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である。 ちなみに、「やうちん」とは広東語で金持ちの意味である。初めての横断歩道も、初めての通りも、 いかにも「勝手知ったる街だぜっ」っていう顔をして闊歩する。それしかない。
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ホテルはすぐに見つかった。まだチェックインまでは時間があったので、外見と周辺の様子だけを見物。ふんふん、ここか。 まあまあ、いい感じだな。ま、7000円だし。立地を取ったから、中身は期待しないでおこう。
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しばらく駅周辺をあるく。三越の前の交差点には、いきなりドデカい噴水が。私の想像をはるかに超えるサイズだった。(って、常識がないだけなのかな!?) 「ナイアディの噴水」と名付けられたそのオブジェは、「ここはアジアではない。」と私に思わせるには十分な重厚さを持っていた。
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「あっ、日本語!」と思ったら、そこは三越。いきなり日本語の世界で、客は日本人しかいないと思われる。 ほとんど、「時間の無い日本人のためにブランド品を取り揃えました。」って感じの店だった。買い物には興味はなかったが、 地下に休憩コーナーがあり、(ここなら堂々と地図を広げられる!!)日本語での観光情報もあった。まずはバスで街の様子を見学しようと思い、1日券を売ってそうな店を探すが、よく分からない。結局自動券売機のある、地下鉄の駅まで歩いた。
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自動券売機で英語表記を選択し、6000リラのバス・地下鉄1日券を買おうと、1万リラ札を入れると、 なぜがお金が戻ってきてしまう。もう一度チャレンジ! あれ?また、戻ってきちゃう。みっともない。場所をかえて、 もう一度! あれ?まただ。券売機の前で困っていると、日本人の女の子が通りかかったので、 チケットの買い方を聞いた。すると、私たちも同じチケットを買うからと言って、説明しながらやってくれた。 彼女はちゃんと買えた。同じように、私もチャレンジするが、あれ? やっぱり戻ってきてしまう。 その女の子曰く、「多分、釣り銭切れだと思いますよ、あそこのタバコ屋で買ったらどうですか。」と 教えてくれた。そうだったのか。そして、タバコ屋で1日券を売っているのか。(イタリア国内はどこでも そうだった。)
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タバコ屋で「One day ticket, please」と言って、一日券を買った。こんなことで苦労するなんて、 やっぱり海外旅行は楽しい。(でもこの時は、スリのカモに見られないように、ドキドキで平静を 装っていた。)
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せっかく地下鉄の改札まで来たので、行き先を決めずに地下鉄に乗る。初体験のヨーロッパの地下鉄だ。 駅の構内は薄暗く、(実際に見たことはないが、)ニューヨークの地下鉄のあの危険な雰囲気がただよっている。 ホームにたどり着き、地下鉄が滑り込んでくる。
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それは、ニューヨークの地下鉄のイメージそのままだった。外装はすべて落書きという名の塗装がされており、 身の危険を感じさせるのに十分だった。(ヨーロッパでは、当たり前なんだろうか・・・。) そして私は疑問に思った。このペイントは、誰が、どこで、どのようにして行っているのだろうか。 一人で描くとしたら、大変な時間を要する。下書きも無く、(センスはともかくとして)デザイン性の ある落書きができるのか? 夜になると、スプレーを持ったヤンキーたちが乗り込んでくるのか?でも 1分たらずの停車時間では無理だ。となると、車庫へ夜な夜な出かけるのか??? う〜ん。分からない。 友達に、「これ、俺のデザインだぜっ」とか言って、自慢するのだろうか? まあ、日本のトンネルの落書きと似たものはあると思うが、地下鉄の会社は、阻止することはしないのだろうか? それとも、 お願いしてたりして? 警察は? う〜ん。 分からない。(この件に関して、何か知ってる方、私に ぜひ教えて下さい!!)
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地下鉄に乗っていること自体に不安を覚え、2駅目で降りることにした。とりあえず、適当に地上にでる。 (もちろん、駅には周辺地図などはあったが、「カモ」に見られることを極度に恐れ、決して立ち止まることはしなかったので、 周囲に何があるか、何にも分からないまま地上に出た。)ここは、どこ? 大きな建物あって、ずいぶん整備されてるんだけど・・・。 (後で、地図で確認した所、「サン・ジョヴァンニ教会」だった。)とりあえず、バスも走っているし、トラムも走っているから、 テルミニ駅に戻れるバスを探そう・・・。と、バス停に近づくと、案内板の上には、「フェルマータ」と書いてある。 え?? 音楽用語の、あのフェルマータ?? まあ、立ち止まる所、みたいな意味があるのかな。でも、ちょっと感激だった。
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フェルマータの案内板には、主な停留所名が記されており、地下鉄に乗りかえられるバス停にはMのマークがついていて、 なかなかわかりやすかったが、地名がまったく分からない私には、ほとんど役に立たない。それでも、テルミニ駅くらいのスペルは 分かるから、そっちへ行くバスを見つけ、(最初は逆方向に乗りそうになった。)駅まで戻った。
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駅が近づいてくると、バスは商店街の通りを走る。ややお腹がすいた私は、テルミニ駅の一つ前のバス停で降り、角にあるピザショップ に入った。観光客にはなれているようで、店に入るなり「こんにちは!」と、日本語で話しかけられた。(あちゃー、日本人って、バレバレ??)と ちょっとショックに思いながらも、英語で対応してくれる店員に、ちょっと安堵感を覚えた。ピザとコーラを頼んで、確か8000リラくらいだった。 セルフサービス形式だったので、気兼ねせず利用できたが、ピザは8分の1カットのはずなのに、めっちゃでか!! 結局、端っこのところは残してしまった。
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もう一度駅へ戻り、今度はわざと適当なバスに乗車。バスが走り出してからしばらくして、周りが安全なことを確認してから、 ガイドブックをとりだし、地図で現在位置を確認。
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おおおっ。あの、すばらしい広場が、ベネチア広場か。すげえなあ。土地余ってんのかな。東京じゃ無理だな。カラカラ浴場のそばを通り、南へ・・・。 この先あるのは、アッピア街道ではないか!!
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ローマ三部作の中の「ローマの松」に登場する、アッピア街道。これは、ぜひ行かねば!! と、適当な所でバスを降り、だれも歩いていない道を、アッピア街道の始点である、「サン・セバスティアーノ門」へ向かった。
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ここが、アッピア旧街道の始点の門である。石畳の道が、ずっと続いている。何世紀に作られた道なのだろうか。 乗用車はひっきりなしに通り過ぎるが、1台ずつすれ違うのがやっとの道幅だ。写真撮影をしながら、ヘッドホンを用意。カラヤン指揮の「ローマの松」第4楽章を聞きながら、 アッピア街道を歩き始める。
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しばらく歩くと、鉄道のガードが見え、トンネルをくぐる。道には歩道などないので、 大型車が後方からやってこないことを祈りながら前へ進む。バス停で、帰りのバスがあることを確認し、ひたすら歩く。道中は大した見所もなく、 街道沿いに点在するはずの「カタコンブ(墓場)」もどこにあるのか分からなかった。30分ほどして、散策をやめ、バスで駅へ戻ることにした。
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テルミニ駅に戻ると、ホテルのチェックイン時間を過ぎていたので、ホテルへ向かった。はなっからイタリア語を話すつもりのない私は、フロントで挨拶だけイタリア語ですると、ホテルクーポンを差し出しながら、英語で用件を伝える。パスポートを差し出し、5分待てと言われたので、ソファーに座って 5分待つと、ベルボーイに呼ばれ、部屋に案内された。
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3人が精一杯と思われる狭〜いエレベータで4階へ昇り、418号室の扉を開ける。「うわ〜っ。せまっ。」これが、私の第一印象だった。
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まあ、はじめからあきらめはしていたが、当然バスタブはなく、シャワーオンリー。しかも、早速う○こをすると、流れない!! あちゃ〜。これは、クレームをつけねば!! ということで、フロントに行く。
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フロントのおっちゃんが何を言っているかはよくわかんなかった。とりあえずTry againとか言われて、(言い含められただけ!?)しぶしぶ部屋に戻る。もういちどトイレ周りを見ると、水洗のボタンが2つあり、もう1つを押すと、難なく流れた。(なんで2つあるんだ!?)
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長旅の疲れもあり、ゆっくり休みたかったが、そこは日本人故の貧乏人根性。時間がもったいないので、着替えなどを鞄から取り出し、身を軽くして、外出することに。
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ローマ三部作の舞台を歩こうと、次なる目標をシエナ広場に設定し、地下鉄にのる。フラミニオ駅で降り、 ボルゲーゼ公園を歩く。BGMは、ローマの松第1楽章である。高音のトレモロが響く中、ホルンの旋律が走る。しばらく歩くと、第1楽章の舞台となった「シエナ広場」に到着。ランニングをする青年を眼で追いながら、しばし物思いにふける。
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地下鉄駅に戻り、次はポポロ広場からナポレオン広場を経由して、メディチ荘へ。ここはローマの噴水第4楽章の噴水があるはずなのだが、みすぼらしい噴水が1つあるだけ。勝手にそれを「メディチ荘の噴水」と名付け、記念撮影をする。
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そのすぐ先にあるスペイン広場の階段は、本当にすごい人だった。若者ばかりで、ポスターを売っている人が多くいた。まさしく、渋谷か原宿かといった感じ。
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そこからコンドッティ通りに入ったとたん、右をみても左を見ても日本人ばっかり!! なぜなら、ここはブランドショップが集まるストリート。僕には用のないエリアだが、ここもローマの顔の1つ。しっかりと町並みを脳裏に焼き付ける。そして、いつか「やうちん」になって、もう一度来たいな・・と願うのだった。
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そして、ローマの噴水第3楽章の、「トレヴィの噴水」へ。すっげースケールに、超感動!!
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それにしても、ローマの古代建造物は、どれもこれも僕の乏しい想像力を遥かに超えるスケールだ。将来、自宅の庭にこの数分の1スケールの噴水を作ることを心に誓うのだった。
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ところが、そのあとに行った第2楽章の「トリトーネの噴水」にはちとがっかり。
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っていうか、トレヴィが凄すぎただけなんだけど。周囲を道路で囲まれ、その中央にぽつんと佇むトリトーネ。トレヴィよりもずっと噴水らしいんだけど、トレヴィの迫力の前に、寂しさが漂うばかり。
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トリトーネの噴水の脇を通過するヴェネト通りの角で、「バール」に初挑戦した。少しおなかもすいたし喉も渇いた。 やっぱりイタリアに来たからにはワイン? と思ったが喉の渇きには勝てず、結局ビールとサンドイッチにしてしまった。
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え?? 困った・・・。 チップいるの・・・? やばい、小銭が無い。周りの客は、カウンター越しにドリンクを受け取る際に、チップを渡しているではないか。(性格にはカウンターの上にレシートといっしょに置いているだけだが。)まだ、買い物をほとんどしていないため、小銭がない。ま、いいか。知らない振りをしよう。(ごめんなさい!)
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小腹が満たされたあとは、行き先も確認せずに適当にバスに乗る。どうやらバチカン市国の方へ向かっているようだ。テヴェレ川を越えたところで下車し、しばらく川縁を散歩することし。が、間もなく暗くなってきたので、テルミニ駅行きのバスを探して戻った。
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一旦ホテルに戻って休憩した後、駅の地下にあるスーパーマーケットへ。ワインが安い!! シャンパンが安い!! でもどうせ、一人でボトル1本空けられないし、買わない。ちょっと残念。しかも、変な時間にバールでサンドイッチを食べてしまったので、全然お腹がすいていない!!(しまった。食が一番の楽しみなのに。)遅い晩御飯はジェラートだけ。
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ホテルに戻り、テレビを見ながら、知らないうちに眠りにつく。こうして、イタリア旅行第一日目の夜が幕を閉じる。 |
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